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ユーラシア大陸横断(酒の旅)
NASTAROVIA!
決意
北京行きのイラン航空。
「飲み物は?」と聞かれビールを要求するが、当然アルコールはもらえない。仕方なくトマトジュースを頼むも、それもない。ある飲み物はといえば、コーラとオレンジジュース、それぞれ米国メーカーのとイラン製のがある。「酒の旅」のつもりであったが、初めの一杯はザムザムコーラだった。前の
日の酒がまだ身体に残ってはいたが。。。
思えば、飛行機でビールを飲まないのは初めてかもしれない。儀式、というわけでもないが、いつの頃か飛行機と新幹線に乗るときにはまずビールを飲むという習慣になっている。そして近くに座る人と旅の安全を祈願して乾杯をかわす。プライベートでも仕事でも、そうするとその後の物事がうまくいくような気がするからだ。
頼んだのは酒ではなかったが、すぐに酔いがまわってきた。ザムザムコーラというのはイラン製のとても安いコーラで、ボトル一本が5円程で買える。5年前にイランを訪れたとき、このコーラをさんざん飲んだ。その量は滞在した一ヶ月強で50本以上にはなると思う。それだけに、ザムザムの味はイランで見た遺跡や絨毯の手触り、出会った人々などを時空を越えて思い起こさせた。
人間の感覚は不思議なものだ。写真を見て、その状況を思い出すのは当り前かもしれない。しかし、味覚・触覚・嗅覚・聴覚により記憶しているものも多くあり、それらによって思い出される情景は、単に写真を見て記憶を呼び起こしたときよりもずっと鮮明なものとなる。5年ぶりのザムザムは、こうして、僕を酔わせた。
チャドルを着たスチュワーデスが目の前のカップに緑茶を注いでくれたとき、僕は現実に戻った。
長期の旅をするのは本当に久しぶりだった。旅人としての感覚をほとんど忘れてしまっていたと思う。しかし、一本のザムザムコーラは一瞬で数年のブランクを埋めた。
「暴れるぞ!」
飲み会の際、他の参加者を鼓舞するために、僕はこの言葉をよく口にする。飛行機の上で、自らに向かってこの言葉を投げかけた。世界中の人々と飲みまくる準備ができた。旅人として、酒好きとして、血が騒いでいた! その時。
「シートベルトをお締め下さい、危ないですから」
まだ暴れるのは早いみたいだ。。
しばらくして、飛行機は北京に滑り込んだ。
中国とビール
○中国には水より安いビールがある。
その名は千麦ビール。
大瓶一本でたったの 1.4元。(約21円)
ミネラルウォーターが 500mlで2元ほどするので、このビールは水より安い
ということになる。
友人の話によると、中国に留学をしている西洋人は、決してこのビールを飲まないそうだ。理由は「水より安いビールなんておかしい!」とのこと。
さて、あなたは水とビール、どちらを飲む?
○中国で緑のビールを発見。
色・味・においは青汁のよう。
なんとこのビールを飲むと、免疫力が高まり、代謝が良くなり、人体に必要
なたんぱく質も取れるという。
ドイツの技術を駆使しており、健康になること間違いなし。
お問合わせ: +86-(0)10-68824333 三麦酒業
○中国人はビールを注ぐ量にうるさい。
ヨーロッパ人もうるさい。
少しでも少ないと文句を言う。ちゃんと入れろ。
ヨーロッパではそんな問題を解決するため、必ずビールのジョッキには水平線がひいてあり、「 500ml」と記されている。
中国にはそれがない。しかもサーバーの質があまり良くないようで、泡ばかり出てくる。何度も失敗し、サーブしてくれる人は半べそである。
日本ではあまり文句を言う人は多くない。時々文句を言うと、けちくさい奴
だという顔をされる。
些細なことだけど、ビール好きには結構重要な事。
日本中のチェーン店の居酒屋さん、どんなに忙しくても、ビールはちゃんと
注いで下さい。
今週のロンドン
北京で有名な安宿、京華飯店の隣にはビアガーデンがある。
モンゴル行きの列車に乗る前日、同じ宿に泊まっていた日本人数人を誘って、そのビアガーデンに行った。
6月初旬だと言うのに、結構たくさんの日本人が旅をしていることに驚いた。まだ夏休みではないこの時期に旅をしている人たちは、一癖も二癖もある人達ばかりで、話をしていると面白い。
そんな中で、特に面白い青年に会った。
彼は28歳。ここでは仮にMさんとしておこう。
Mさんは海外を旅するのは今回で二回目。前回はヨーロッパに行ったと言う。Mさんの話によると、M家一族はとても心配性な人が多く、海外を一人旅するなんてことはM家の中では口が裂けても言えないらしい。そのため前回は、友人と二人で旅行したことにした。後で写真を見せたときに自分だけ写っていると友人の存在を疑われると考え、カメラを持っていかなかったという。こうして一度目の一人旅は、家族には真実を悟られることなく、成功した。
そして三年後の今回。
Mさんはどうしてもアジアを見たくなった。家族には「一年間ロンドンで仕事をしてくる」と説明した。以前より古着屋を開くという夢を家族に語っていたため、ロンドンで服飾関係の仕事をする、というのはMさんの家族に対して
は完全無欠な説明なのだそうだ。
家族はそんなMさんに対して、「心配だから2週間に一度ぐらい連絡をして」という要望を出したと言う。そして、Mさんはそれを忠実に守るつもりだ。
話の辻褄が合わなくなり、家族にばれるのは時間の問題であろう。「そんなウソすぐにばれるんじゃないですか」という僕の一言で、彼は困ってしまった。
それまでアジア旅行を家族に隠すのに必死で、言い訳までは考えていなかった。
そんな純粋なMさん。
彼のためにまわりにいた僕らは、対策を考えてあげた。そして、家族への連絡は必ず手紙でとることになった。
・毎週、ロンドンらしいところを見つけ、そこからポストカードを送る。
これが結論だった。もちろん、ポストカードは自分のいる場所からしか送れない。従って、Mさんの家族は、Mさんの行き先を正確に把握しながら、Mさんの無事を確認できる。そして、Mさんは毎回ロンドンからの報告を家族に送ることで、ロンドンにいるアリバイを作れる、と真剣に思い込んでいた様子。
僕らは親切にも、最初の報告は香港からがいいのでは?と提案した。数年前までイギリス領だったからというのがその理由だ。
Mさんは次の日、香港に向けて出発した。これで家族にも心配かけずに旅ができます、という感謝の言葉を僕らはありがたく頂戴した。
Mさん、その後いかがですか。約束通り、Eメールの使い方がわかったら連絡下さいね。「今週のロンドン」楽しみにしています。
Mさんの家族の方へ。
Mさんはこれから東南アジア経由でインドに向かい、中東からヨーロッパ入りするそうです。このルートはバックパッカーの超有名ルートですから、心配は要りません。Mさんを見守ってあげてください。
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