ユーラシア大陸横断(酒の旅)
NASTAROVIA

ゲージュツっていいかも

ウィーン、リンツではゲージュツに浸った。
もともと美術館で絵画鑑賞をしたり、クラシックコンサートに行くような柄
ではないのだが、各地で欧州人と出会い、話をするうちに、必然的に彼らの持つ文化に触れてみたいと思った。ウィーンなどでは歩いているだけでコンサートの勧誘があるので、誘われるままに聞きに行ったりした。また、そこらじゅうにアトリエや美術館があったので、これも目に付いたところに入ってみた。

初めて触れるゲージュツの世界は予想以上に素晴らしかった。

例えば、コンサート。CDを1枚買えば何度でも聞くことができるが、コンサートは一度行けばおしまいだ。しかもチケットはCDよりも高いのである。そこにどれだけの価値があるのだろうなどと思いながら会場に入ったが、演奏が始まるとすぐに魅了された。そこにあったのは音だけではなかった。演奏者の表情があり、観客の拍手がある。素晴らしい演奏と賞賛の拍手の繰り返しにより生じる双方のコミュニケーションが場を盛り上げる。いい雰囲気だ。

例えば、美術館。上野の美術館には何度か足を運んだことがある。狭い館内にたくさんの絵画が所狭しと並べてある。入館前に並ばされるし、入館後も人の波に流されていると、次々と絵が通り過ぎていく。いっそのこと、人を座らせて絵画が動けばいいのに、などと考えてしまう。
ところが、ヨーロッパのそれは違った。まず、順路がない。好きなところから好きなように見ればいい。また、絵画の数が違う。1000枚も2000枚も絵を見ていると「お気に入り」の一枚が見つかる。そんな絵が見つかればそこにずっと留まっていてもいいし(ところどころにソファーが置いてある)、一通り見終わった後に戻ってきてもいい。絵を見て何かを考えるだけでなく、疲れたらリラックスすることもできる。美術館はゆっくりと気分を落ち着けるためのスペースでもあるのだ。

体験してみて初めて分かることがある。
ヨーロッパにおける僕のゲージュツ体験は、そのことを強く感じさせた。ゲージュツはムズカシイもので堅苦しいという印象を持っていたが、本当はそういうものではなく、その雰囲気に溶け込むことが心の安らぎをもたらすことを知った。


鼻から水を出す馬

ユースホステル

ヨーロッパはユースホステル(YH)が充実している。
東欧などでは政府非公認のいわゆるモグリの安宿が存在し、一泊4〜5ドルで泊まれるところもあるようだが、看板すら出していないらしく発見できなかった。一方でYHはツーリストインフォメーションに行けば教えてくれるし、
近づけば道案内の表示もあり、すぐに見つけることができる。値段も800〜2000円で、アジアの宿と比べると10倍もするが、このあたりの物価を考えるとリーズナブルである。
そんなわけで個人旅行者の多くはYHに集まる。

ユース(若者・青年)ホステルとは言うものの、宿泊客の年齢は幅広い。16歳から80歳ぐらいの人がいる。しかし、やはり多くは大学生か20代の社会人であり、酒を飲み、話を始めると、朝まで終わらない。ゲームをし、歌をうたい、音楽をかけてダンスを踊る。

YHにもいろいろな雰囲気のところがある。ロビーが広く多くの人が寛げるスペースが十分にあるところは、上述のように夜通しパーティーが行われる。
一方で、門限が厳しくロビーも狭く、ほとんど交流のないYHも存在する。一人で旅をしていると前者のようなYHに行き着くことを期待する。友人ができ、旅の情報も得やすいからだ。

ザルツブルグで最高のYHを見つけた。ザルツブルグ行きの列車の中で知り合ったカナダ人に連れられチェックインすると、一階にバーがあった。少し休休憩した後、モーツアルトスクエアで野外コンサートを堪能して宿に戻ってみると、YHはすごいことになっていた。
スピーカーからは大音量でアメリカンポップスが流れている。バーは座りきれないほどの多くの若者で賑わい、グラスやつまみがテーブルに溢れている。
あまりにテンションが高く、途中から入るのが憚られるほどだ。

とは言っても、その楽しげな状況を見て、加わらないという選択肢を知らない。最も盛り上がっていそうなグループに目をつけ、人数分のビールジョッキを持って、パーティーに加わった。
彼らは予想通り、最もエネルギッシュなグループだった。そこにいた6人は僕の持っていったジョッキを10分も経たないうちに空にした。どこからともなくテキーラやラム、ウィスキーが出てきて、長い長い酒盛りが続いた。同じぐらいの歳の仲間で構成されたこのグループは、夜が更けて他の人たちが次々とベッドに向かう中、太陽の光が差し込むまで話をし続けた。

「そろそろ朝食の時間だから…」
まだまだ話は終わっていなかったが、YHオーナーのこの一言でパーティーを終わりにしなければならなかった。コンティネンタルブレックファーストを胃に収め、僕らは深い眠りについた。


ウィーンの町並み

信号と交通マナー

オーストリアの歩行者用信号は青になっている時間が少ない。
信号が青のうちに渡り終えることはほとんどない。ひどいものになると信号が変った瞬間に歩き始めたのにも関わらず、横断歩道の真中あたりでもう赤になってしまう。どういう意図で信号を作っているのであろうか。

ただし、自動車に乗っている人のマナーは異常なほど良い。
すぐに変る信号で渡りきれない人を待つのは当然として、信号や横断歩道がないところでも、渡ろうとするそぶりをするとその手前で停まってくれる。舗道の端で立ち止まったりすると交通渋滞を作りかねないほどだ。

 

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