AnotherWorldCup!
2002夏:佐谷恭
警官〜ニセモノよりホンモノが怖い? ロシアや旧ソ連の国々には、ニセ警官が多い。 たいていは「ぽり〜す!」などと言いながら、ニコニコして近づいてきて、うさんくさい“警察手帳”(中央アジア版)を見せてくれる。 その“警察手帳”が本物かどうかを、見分ける術は知らない。中央アジアに通い詰めているスペシャリストの友人も、「ほぼ判別不能」と言っていた。なぜなら、ホンモノも、ニセモノも、怪しげな“警察手帳”を見せてくるし、私服警官も多いためだ。 その友人は、私服だったからと言って、無視していたら、パトカー(のようなもの)に乗せて連れて行かれたことがある。その後は、領収書の出ないお金を払わされ、釈放(?)された。そのときは、どうやらホンモノだったようだ。 「ニセモノならさすがに連れて行ったりしないだろう」というのが、ホンモノと判断した根拠。だとすると、どっかに連れて行くことを「認められている」ホンモノに当たるほうが怖いとも言える。 では、どうすればいいか。ホンモノであろうと、ニセモノであろうと、権力(のふり)をかざすことで、旅人から金銭を巻き上げようとたくらむ輩が多い。というわけで、不利な場所に連れて行かれることは避けるべきだ。 したがって、鉄則その1は「口ごたえしない」こと。連れて行く口実を与えてはいけない。そして、鉄則その2は「相手の行動を見逃さない」こと。彼らはほぼ100%、パスポートや荷物を見せろと言ってくる。ビザの不備などを見つけて、もしくは理由(いちゃもん)をつけて、旅行者からカツアゲすることが目的の1つだが、複数の“警官”があっちやこっちで荷物やサイフを開け、旅人が見ていない隙に、ちょっとしたものを盗むことも流行っているからだ。 ちなみに僕はロシアで、よく見ていたつもりだったのに、“職務質問”の後にパスポートを確認したところ、ビザが無くなっていて、調べてみると警官の胸ポケットからそれが見つかったことがある。まるでマジシャンだ!
愛着あるもの 旅に欠かせないものがある。 最初は単なるお気に入りで、無意識に着て行っていたのだと思うが、あるとき僕の家で旅行の写真を見ていた友人が「いつもこれ着てるよなぁ」とつぶやいた。そう言われて、写真を見返すと、カンボジアでもインドでもイランでもヨーロッパでも、いつもこのジージャンを着ている自分がいた。 そんなジージャンをキルギスのチョルポンアタで無くしてしまった。イシク・クル湖のほとりから、丘の方に向かってトレッキングをしているとき、置き忘れてきてしまった。途中で落としたのでは、たぶん、ない。だとすると、休憩のために座った岩の上においてあると思うが・・・。 ジージャンを持っていないことに気づいたのは、トレッキング中に降った大雨から逃れるため、丘を駆け足で降りて、チョルポンアタ空港の待合室のようなところに紛れ込んだ時だ。週に1便程度しかフライトのないその空港は、周りに柵もなく、チケットカウンターのある建物の鍵もかかっていなかった。 建物に入るまで、そこが空港ということにも気づかなかった。建物の中にタイムテーブルらしきものを見つけ、さっき走ってきた“大きな道”が滑走路だということに気づいた。雨から逃れることができ、一気に冷静になったのだろう。そのとき腰に手をかけると、ジージャンがなかった・・・。 雨はますます強くなっていた。しかし、僕は再び滑走路を駆けた。さっき座った岩を目指そうとしたが、それはすごく難しい作業だった。地図も持たないまま、「行きはとにかく登って、帰りは湖まで降りる」という方針でトレッキングを行ったため、ほとんど道を通っていない。目印もほとんどなく、頭に残っているのは、休憩時に見かけたひつじ飼いと約100頭のひつじだけだった。ひつじたちは、もちろん、どこかへ行ってしまっているだろう。 雨の中、必死に捜索をした。手がかりは、ひつじのフンぐらい。これほど真剣に、ひつじのフンを追ったことは後にも先にもない。 「あった!」 気がつくと、雨はあがっていた。ジージャンに対する愛着がますますわいた。このジージャンは、一生手放せないと思う。
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