|
ブラッドフォード大学大学院 体験記
(MA in Peace Studies, University of Bradford)
マンチェスター戦争博物館
マンチェスターに行ってきた。
2月3日から27日まで開催されている「広島長崎原爆展」を見るためである。Town Hallの一部とCentral Libraryの廊下の一角で小さく開かれていたものであり、今まで何度も原爆展を見たことのある僕としてはとくに目新しいものがあるわけではなかったが、何度見直しても原爆投下という事実は心に重くのしかかるものである。こうした展示を規模は小さくとも世界で開催し続けることに意義があるのだなというのが、外国で初めて原爆展を見た感想である。
大学院生活も半ばにさしかかり、ようやく授業や課題の話だけでなく、今起こっていることなどについて、友人たちと話す機会が増えてきた。何ができるか、何をすべきかについては、考え出すと己の無力感を感じることもあるが、大切なのは革命的な方法で一気に平和というものを実現することよりも(できるならそうすればいいが、できないから何もしないなら大きなことばかり考えて行動しないのはよくない)、自分なりの知識を身につけ、身近な一人ひとりに確実にそれ伝えていくことだと感じ始めている。今日は展示会場には平日ということもあり20名ほどしか見かけなったが、それぞれが見た感想を家族に伝えるだけでも、100人がそれを知ることになる。忘れても思い出す。小さくとも「前」に進んでいくことが重要。TK氏も述べている行動の基本的な姿勢を維持していきたい。
展示会は本当に小さかったので、すぐに見終わってしまった。まだ時間があったので、マンチェスター郊外にあるImperial War Museumを見に行くことにした。
こちらは原爆展とは全く趣が違っていた。「過ちは繰り返しませぬ」というよりは、「我々はこのように勝って来たのだ」という感じ。もちろん、戦争に反対し続けた人たちの話なども展示の一部にはあるのだが、言葉の使い方を見ると、このミュージアムが「世界の平和」ではなく「イギリスの戦勝史」を展示したいというのがよくわかる。つまり、他国でいやがらせを受けたイギリス人は被害者であり、植民地に攻め込んできた日本人は侵略者である。
勝った方(自国)は善で、負けたほう(他国)は悪なのだ。今の世界情勢も激しくこの考え方に踊らされているが、こうした相対的な善悪観を持っている限り、争いは決して終わらない。イラクに派遣を決めた日本はアメリカンスタンダードの善に強く味方したことになるが、「悪」が敵視する対象に入り込んだことをも意味している。仮に「悪」がこの世から消えても、この枠組みにいる限り、「善」の中から相対的に「悪」が選ばれるのだろう。国際的に曖昧な立場は一見格好が悪そうに思えるけれども、どっちつかずで居続けることが、いかに難しく、しかし、高貴で、カッコいいか。「フツーの国」になるのではなく、いいか悪いかでは測れないような価値観を提供できる数少ない国としてできる特殊なことを日本はすべきだ。
話がそれた。戦争を知るためにこうしたミュージアムは必要かもしれないが、結局戦争は必要悪なのだというメッセージを残して終わっている。このミュージアムの終盤に原爆投下についてのコーナーがあるのだが、そこに書かれた文言が原爆展のそれとあまりにかけ離れているので愕然とした。
American bomer had effectively destroyed Japan's Industry.
違うだろ〜!
(2004年2月18日)
BEEMANet平和研究センターへ

Copyright (c) 2000-2004 BEEMANet All Right Reserved.
|