ブラッドフォード大学大学院 体験記
(MA in Peace Studies, University of Bradford)

テロリストとの交渉


米軍がファルージャからの撤退と、ファルージャの有名聖職者解放を決定したそうだ。
記事中には「地元との信頼醸成に踏み出した」とか「主権移譲に悪影響が出ることを懸念した」と書かれているが、こうした方針転換は今までの行為を正当化するものでは全くないし、「テロリストには屈しない」「テロリストとは交渉しない」という方針を一部切り崩したもののように思える。

ファルージャにとってはとてもよいニュースだ。米軍がテロリスト探しのために民家を捜索し、金品を強奪しているというようなニュースが伝わってきているが、米軍がいなくなれば少なくとも「米軍による強盗事件」は起きない。しばらくアナーキーな状態が続くかもしれないが、米軍がその原因となっているときよりもずっとマシであろう。

多くの米軍兵士に死者が出たことがこうした交渉をすることになったきっかけと思うが、今後もこの経験を活かして、どんどん交渉していけばいい。交渉をすることは解決を導く可能性がある。相手が何を考えているかわからないとき、人は相手に対して恐怖を感じるが、多くの場合に相手を知ろうという努力を怠っている。
「テロリスト」だなんて呼んで敬遠する前に、まずは相手が本当にテロリストなのかどうか確かめるべきなのだ。そのためには爆弾を落としてみて反撃してくるかどうか見るのではなく、相手と同じテーブルにつき、言い分を聞くことが必要である。その結果として相手がテロリストだと言うのであれば攻撃すればいい。誰がテロリストかはっきりしているのであれば他の人を巻き込む可能性が減る。

テロリストと交渉するということは、テロリストの要求をのむこととは違う。テロリストと交渉するということは、実態の分からない聖職者団体にお礼という名の身代金をはらうことではない。それは敵を知るために必要なプロセスであり、戦うべきか戦わざるべきか決めるためにもしなくてはならない行為である。

 

米軍、ファルージャの著名聖職者を解放 (日経新聞)

【バグダッド29日共同】イラク中部ファルージャからの部隊撤退で地元代表らと暫定合意した駐留米軍当局は29日、昨年10月に拘束したファルージャのイスラム教スンニ派の著名な聖職者ナザル師を解放した。AP通信が伝えた。
 同師によると、地元で大きな権威を持つ同師の解放は、戦闘が続いたファルージャ情勢の緊張緩和を目指す地元代表らと米軍との合意内容の一部で、米軍側は地元との信頼醸成に踏み出したものとみられる。ファルージャで権威がある同師は米軍によるイラク占領を批判してきたことで知られ、同師を解放しなければ米軍を攻撃すると警告するグループも現れていた

米軍、ファルージャから撤退へ (日経新聞)

 【バーレーン=岐部秀光】イラク中部ファルージャで武装勢力と戦闘を続けていた米海兵隊は29日、同市の一部から撤退を開始した。同日の米軍と地元代表による協議での合意を受けた動きで、米部隊が段階的に撤退する代わりにイラク人部隊が同地の治安維持にあたる。3週間以上にわたりファルージャ包囲を続けてきた米軍は、主権移譲に悪影響が出ることを懸念したとみられる。
 米軍と入れ替わりに新たに治安を担当する部隊はファルージャ防衛軍(FPA)。イラク人の元兵士ら約1100人で構成し、フセイン旧政権時代のイラク軍の将軍が指揮を執るという。
 米軍部隊はファルージャ南部から撤退を開始した。今後北部からも順次引き揚げ、30日にも終了する計画とされる。米軍は撤退しながらも、ファルージャ内三地区で空爆を実施、地上では銃撃戦も起きており、予定通り撤退が進むか不透明な面も残る。
 米軍による攻撃で民間人に600人以上の死者が出たことや、モスク(礼拝所)攻撃で反米感情が増していたことを重視、事態の沈静化を優先したとみられる。


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