ブラッドフォード大学大学院 体験記
(MA in Peace Studies, University of Bradford)

火災報知器


早朝、強烈な音で目が覚める。目覚まし時計か?いや、違う。今日も火災報知器が敏感に反応したらしい。

これでイギリスに来てから7回目だ。火災報知器は、当たり前だが、火事の危険性を警告するものである。したがって、その音の大きさは尋常ではないし、長い間その音を聞いていると、それだけで消耗する。どうせ誤作動だろう、とは思っても、本当に火事である危険性がないとは言えないので、避難するしかない。眠い目を擦りながらズボンをはき、上着をはおる。

避難経路に従って玄関までたどり着いた頃、消防自動車が到着する。イギリス人はレイジーだと思っていたが、消防士だけは例外であるらしい。すばやい対応だ。たくさんの消防士が建物に入り、火災の可能性を探る。検査がいい加減なのかどうかは知らないが、異常に早い。3分ごには隊長らしき人の「Everything is fine.」という言葉で消防士は去っていく。住民もそれぞれの部屋へ戻る。

しかし、「Everyshing」は「fine」なのだろうか。火災報知器で無理矢理叩き起こされたという事実だけで、すでにfineではない。また、一度や二度ならともかく、こう頻繁にあっては神経が磨り減るというものだ。実際に火事が起こる可能性は高くはないけれども、本当にそういう状況になった場合、「また誤報か」と思って避難すらしない人が出るかもしれないのは狼少年の例をひくまでもない。

イギリスではいつぞやの火事の教訓を生かして、火災対策に万全に取り組んでいるという。学校でも、寮でも、デパートでも、劇場でも、あらゆる建物のあらゆる場所に「Fire door keep shut」(左の写真参照)と書かれている。また、火災の危険性を未然に防ぐため、そこらじゅうに煙探知機が設置されており、しかも、かなり敏感にできているらしい。料理の際に失敗して焦がしてしまった場合はもちろんのこと、ヘビースモーカーが煙草を吸いすぎて換気を怠ると、火災報知器がすぐに反応するらしい。

僕はPre-sessional英語コースのためにQueenMary(University of London)のVareyHouseに20日間を過ごし、その後Bradfordに移ってKirkstoneHallに2日間滞在した。WardleyStudentApartmentsには昨日引っ越してきたばかりだ。それぞれの寮で毎回火災報知器の音を聞いている。また、たまたま訪れたPubでも火災報知器が鳴ったことがあるし、歩いていて火災報知器が鳴り響いている建物の前を何度通ったか知れない(これは数にカウントせず)。

はっきり言ってうんざりしているが、今後もまだまだ何度も聞くことになるだろう。火災の原因を作らないこととあまり驚きすぎない(しかし、きちんと警戒する)ように気をつけよう。ハァ・・・。

<例1>初めてイギリスで火災報知器の音を聞いたのは、渡英後初めての週末だった。タイ人のフラットメートが「タイ風オムレツ(卵にナンプラーを混ぜて焼くという極めてシンプルなもの)を作ってあげるよ」というので待っていると・・・。「Oh, my god」という言葉を彼が発するや否や、オムレツから煙が出て、あっという間にサイレンが鳴ったのだった。温度調節が難しい電気調理器を使いこなすのはかなり難しい。とくに、初めて料理をするような留学生は「火加減」もよく知らないようだし・・・。
<例2>ブラッドフォードに来た次の日の朝、7時過ぎごろものすごいサイレンで目を覚ました。原因は中国人がパンを焦がしてしまったとのこと。その一時間ほど後、台所に行くとインド人とイタリア人がご飯を食べていたので一緒に食べることにした。インド人が「中国人は朝早く起きて火災報知器を鳴らすから最悪だ!食べ慣れてないパンなんて食べようとするからいけないんだよ!」などと悪態をついていたのだが、自分の話に熱中しすぎて、彼もガーリックトーストを焦がした。そして・・・。
<例3>Pubで火災報知器が鳴ったときは誰も驚いていなかった。それどころか、50名以上いる客が誰も立ち上がりさえしなかったのに驚いた!やはり皆慣れているのだろうか。店員も、客に状況を説明するどころか、火災報知器に対して文句ばかり言っていた。

本当に火事になったとき、また大惨事になるような気がするのは僕だけではないはず・・・。(2003年9月17日)

 

<追記>2003年9月20日、本当に燃えました・・・


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