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ブラッドフォード大学大学院 体験記
(MA in Peace Studies, University of Bradford)
コピー
イギリス人は杜撰である。がさつである。
部屋の内装にしても、道路にしても、遠くから見るととても美しかったりするが、間近でみると作業の粗さが目につく。作業の仕上げに際していい加減さが出るのだろう。そこには職人芸のようなものは微塵も感じられない。
大学にスタッフファイルというものがある。
スタッフファイルとは講義やセミナーでよく使われる資料や図書館に蔵書がないけれども学術的に貴重な文献などが、担当教授ごとにコピーで保存されているものである。
このファイルは貸し出し時間が非常に短いので(その日の夕方まで、または翌日朝10時まで、など)長期間誰かに借りられっぱなしで手に入らないということが少ない。授業の前日などでもほぼ確実に必要な文献が手に入るという意味では非常にいいシステムだ。
しかし、そのファイルにもイギリス人のがさつさがよく表れている。
スタッフファイルのほとんどは本またはジャーナルのコピーである。コピー作業をしてるのが教授なのかその他のスタッフなのかは知らないが、コピーのやり方がひどすぎる。
全体が斜めに傾いているぐらいはご愛嬌。本の端が折れ曲がっていたり、本をコピーするときにしっかりと押さえないためにページの内側部分が写っていなかったりで、文献の一部が読めないこともある。また、文献の大きさを考えて用紙を選択していないことも多く、A4の文献の多くもA3の紙に印刷されている。コピーのふたを開けたまま作業しているため、余白部分が真っ黒になっていて見栄えも悪いし、インクも無駄だし、けちな話だが、学生の財布にもやさしくない(コピー代はA4が5ペンス、A3が7ペンスである)。今までで一番驚いたのは、本を押さえている手までコピーされていて、手相と指紋がくっきり写っている文献をみつけたときだった。
コピーがきれいにできてないと気になるのは日本人だけなのだろうか。他の人はそんなことを気にする風でもないし、スタッフファイルの質の悪さを何人かの友人に言ってみたところ、「そんなこと考えてみたこともなかったよ」との答えが返ってきた。
◇
コピーといえばもう一つ。
上にも書いたように、コピー代はA4が5ペンス、A3が7ペンスである。たくさんの文献を読まなければいけないので、コピー代も馬鹿にならない。
少しでもコピー代を抑えるため、僕はA4の紙を2枚並べて後からカットしているのだが、これを見て、多くの友人が驚いていた。「そんなこと考えてみたこともなかったよ」と。
しかし、示し合わせたわけでもないのに、日本人の多くは同じ方法でコピーをしていた。不思議なものである。
こうした「ちょっとした工夫」ができるのが日本人の優れたところなのかもしれない。
(2003年12月3日)

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