2005年12月13日

「日本は外交の原則を持て」

13日、シンポジウム「『日中摩擦』とメディア」で講演する元外務審議官の田中均氏(撮影:吉川忠行)元外務審議官の田中均氏が講演

中国の反日世論の台頭を、マスメディア報道やインターネットによる「世論」形成から読み解くシンポジウム「『日中摩擦』とメディア」が13日、東京都港区の慶応大学三田キャンパスで開かれ、ゲストとして出席した元外務審議官の田中均氏が基調講演で「日本は外交の根本となる原則を持つべき」と話した。

 ゲストとして出席した元外務審議官の田中均氏は、基調講演で「日本の外交において、戦後50年は国際世論を重視し、国際貢献を原則としていた。この10年は自己主張を前面に出すようになったが、外交に原則がない。原則がなければ、世論に流される危険性がある。世論は、国益に関わるすべての情報を持っているわけではない一般の人が形成するものなので、どうしても感情的になる」と話し、日本の指導者である小泉首相が主張を述べるだけでなく、根本となる原則を持つべきだと訴えた。

 日中関係については「中国は貿易がGDPの7割を占めており、国際社会との依存なくして安定は図れないのは明らか。中国自身も日本との関係を正常にしておかなければという意識はあるはず」と述べた。また、田中氏は「地域が共通の目的を持てる、東アジア共同体のような未来に向かうビジョンを具体的な政策として語り、国際秩序形成に参画することを大原則とすれば、日中摩擦は解消し、地域の国々から日本が立派な国だと思われる要素になる」と語った。

 同シンポジウムを主催した慶応大学グローバルセキュリティー研究所と朝日新聞は、日中関係の根本にある認識ギャップとメディアの影響力について、今年春から共同研究を行い、「メディア・ナショナリズム」という視点から分析を試みている。【了】