生きる意味と希望を考える
[書評]「生命のメッセージ展」実行委員会編『いのち・未来へ』
「行ってきます」という一言には、「行って無事に帰って来る」という意味が込められており、その対に「ただいま」がある。この2つの単語が繰り返されることが、当たり前の日常であると一般には考えられている。
この当たり前の連鎖が突如として断絶されるとき、平凡な日常がどれほど幸せで、感謝すべきものだったかに気づく。本書では、交通犯罪や医療事故、リンチ殺人などで家族の命を奪われた遺族が、その切ない思いをつづるとともに、その原因を社会問題として提起している。
「理不尽に奪われた命」を嘆く遺族たちは、“命の重み”を訴える「生命のメッセージ展」を全国で開催することを通じて、事件や事故の風化を防ぎ、それぞれの思いをつないできた。平凡な日常を当たり前のものとして過ごす世間の無関心と、予期せずに家族を失った自らの境遇とのギャップに戸惑いながらも、生前に死者が持っていた夢を語り継いできた。
なぜ、命を奪われてなお死者が冒涜されるのか?
どうしてうちの息子が?
本書に含まれるさまざまな疑問符は、生命について真剣に考えた遺族の単なる苦悩の表れではない。いま生きている我々に、生きる意味や希望について考えさせるメッセージだ。(日本エディターズ、2005年5月、1470円)【了】
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